フード&アグリテックに注目

新規事業へのアイデアや最新の農業事情を収集するため、セミナーに参加してきました。
テーマは「国内外のフード&アグリテック市場と先進スタートアップの動向・展望」

 フードテック・アグリテックとは

  • 「フード(食品)」と「アグリ(農業)」にデジタルやロボティクスなどの「テクノロジー」を掛け合わせた造語
  • 国が推し進めている「スマート農業」に、一部の食品と流通分野を含めたソリューション概念

今、いろいろな業界で取り上げられているDX(デジタルトランスフォーメーション)について、食と農の分野で推進するのが、アグリテック、フードテックです。

セミナー講師が、この分野の近著で有名な方だったので、現在の日本農業やフード&アグリテックの先進スタートアップの現状や戦略など、興味深い話がたくさん聞けました。

フード&アグリテックは主に5分野

次世代ファーム

「植物工場」や「陸上・先端養殖」の取り組みがこの分野。

植物工場は、第1世代(一部の大学、大企業が研究開発で行っていた時期)、第2世代(スタートアップが登場し始めた時期)を経て、今はさまざまな企業が新規事業として取り組みを進めている第3世代に突入。

陸上・先端養殖は、、スタートアップが出始め、今は「サーモン」を中心に実証化の開発が進められている段階。

 これらは、従来製法よりも高価格になるので、消費者が感じる割高感を、どのような価値で払拭させ普及させていくのかが鍵になっていきそうです。

植物工場内の様子

農業ロボット

ドローンや収穫ロボット、ロボットトラクターなどがこの分野。
特にドローンは、2017年に初めて使用されてから、3年あまりでかなり浸透してきています。

理由は「使ってみたら超便利」だから。

便利なだけではダメ。
いかに「実感」してもらえるかが普及には必要な仕掛けだと思いました。

ロボットトラクターの紹介

生産プラットフォーム

 いわゆる「スマート農業」はこの分野。
生産プロセスを効率化、省力化するシステムで、主にクラウド、センサー、ビックデータ、AIなどのデジタル技術がベースになっています。

稲作の水管理なら、水田にセンサーを設置→水量データをスマホで確認→水量調整作業で水田に行くのは必要な時だけ。

雨風、気温の高下など、少しの気象変化でも気にして足繁く通う私の農スタイルからすると、うらやましい限りです。

生産プラットフォームイメージ画像

流通プラットフォーム

オンラインを使って農畜産物の生産側から直接消費者に届ける直接流通形態のこと。
農畜産物ECがこの分野です。

コロナ渦の巣ごもり需要で一気に定着した感も。

特に農畜産物は中間流通が複雑な産業。
中でも大きく占める卸売市場が、これにどう対応していくのかも、注目ポイントです。

流通プラットフォームのイメージ図

アグリバイオ

「代替タンパク」と「ゲノム編集」がこの分野。
代替タンパクの主なものは、植物原料で作った「代替肉」や、「代替ミルク(豆乳、アーモンド、オートミールなど)「昆虫食」など。
ゲノム編集は、生物の遺伝子情報の一部を改変する技術で、特定の遺伝子だけを破壊する「ノックアウト型」と、目的の遺伝子を外から挿入する「ノックイン型」の2種類があります。

どちらも、世界の人口増加への対応が背景にあり、代替タンパクはそれに加え、健康・環境問題、動物愛護の観点から、消費者の関心が高まっています。

欧米での感心や普及からすると、この分野での日本の取り組みは、一部の食品メーカーーでは始まっているが、消費者の関心はまだ広まっていない気がします。

日本の食文化と独特の消費者意識が影響しているのかもしれません。

代替肉の画像

 

日本の農業のミライ

日本の農業は今、歴史的転換期を迎えていて、産業戦略として、大規模化や輸出強化、フード&アグリテックの推進などが推進されている中、中小・零細農家が残っていけるのか、心配をしています。

  • 「変わらなきゃいけないこと」と「残していくべきもの」
  • 日本の農業の良さをどう残して活かしていくか?

この視点も忘れないでおきたいと思った1日でした。